地上の天宮北京・故宮博物院展を見学
2012-01-07


1/5、松坂屋名古屋店南館7Fで開催中の催し物を観にいった。2012年は日中国交正常化40周年というので企画された。詳細はユーチューブで見ることも出来る。
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 この展示に興味を抱いたのは故宮の旧称が紫禁城としてあったことである。紫禁城は満洲族の拠点だったことくらいは知っていたがそれが北京にあったとはうかつにも知らなかった。当然満洲国内と疑わなかった。今の満洲族は55ある少数民族の内でも消滅しかかっているという。かつては漢民族を支配していた清朝の拠点と改めて学んだ。

 紫禁城の語彙を得たのは渡部昇一『昭和の大戦への道』(ワック2010年)のP133満洲建国の必然性を読んでからだ。その中にジョンストン『紫禁城の黄昏』の邦訳に先行する岩波文庫版(1989年)と祥伝社(2005年)、祥伝社文庫版(2008年)に触れている部分がある。

 アマゾンの書評は岩波文庫版に辛辣である。一例だけコピーさせてもらうと「この本の出版社による紹介は次のようになっている。「宦官に支配される「小宮廷」の実態をつぶさに書きとめたこのインサイド・ストーリーは、清朝末から「満州国」にかけての中国理解に欠かせない1冊」。
 これでは、紫禁城と言う宮殿の中の些細な問題に過ぎないように見える。
 しかし、いまや、我々は、完訳本を得ている。
 初歩的な英語の翻訳ミスとは思われない意図的な誤訳。この本において最も重要と思われる部分の全面削除。
 これは、著者に対する冒涜であるとともに、出版社による思想信条、出版の自由の放棄である。
 岩波によるこの歴史の改竄のために、事情を知らないでこの本を読んだ人は、永久に、もしこの本の原本が東京裁判の証拠に採用されていたら判決内容が変わったかもしれないと言うことに気がつかないだろう。 岩波の罪は大きい。 」

 祥伝社の完訳版の書評でバランスのいいコメントをコピーさせてもらうと「この本に手を出したきっかけは、浅田次郎の小説「蒼穹の昴」と連続テレビドラマ(田中裕子が西太后役)である。

それに触発されて、昔みた映画「ラストエンペラー」をDVDで再度、視聴する。 皇帝溥儀が革命政府に逮捕されて、昔の「行状」を告白するくだりで、共産党の幹部(実はいい人)が読んでいた本が、 本書でした。

蒼穹の昴の皇帝(光緒帝)が幽閉されて死去したあと、幼い溥儀(宣統帝)がラストエンペラーとしての運命の道を歩きはじめる。この本の著者である英国人の帝師ジョンストンは、ピーター・オトールが演じている。

この本の魅力は何と言っても、歴史の当事者・目撃者として、その場にいあわせて、様々の出来事を自分の耳目で見て感じて書かれた書であることである。

当事者による本ということでは、溥儀自身による「わが半生」がある。こちらはそれなりに詳しく書かれているが、共産党の監督下で書かれたこともあって、読み手にストレートな気持ちが伝わってこない。致し方ないことかもしれないが。

本書の書評として、岩波版の意図的削除行為の糾弾と、日本が一方的悪者ではなかったんだ、といったコメントが多い。たしかに、原書が出版された1934年時点では、満洲国が建国され溥儀が執政となっていたが、その後、日本が中国で繰り広げた侵略行為が正当化されるというものでもない。監訳者の渡部昇一氏らの思いもわからぬではないが、ちょっとこわい気もする。

1934年までにおける清朝末期〜振興勢力の台頭、列強侵略下における国家サバイバルのリアルな内幕ドキュメンタリー(記録)として、一級の作品である。

DVD版「ラストエンペラー」をあわせて視聴されることをお勧めしたい。」
以上。

 岩波書店が反日だなんてホントですか。本が売れれば左翼でも右翼でも何でも出版するのではないか。ただ特色付けはするからマルクス主義文献、共産主義文献中心に、と標榜する出版社はある。岩波はそんな色づけはしてないはずだが。

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